案内人は常々考えていました。世にホラー映画は数多くあるけれど、なかなか好みの作品にめぐり会うのが難しいなあと……。
例えば、プライムビデオやNetflixなどの動画配信サイト。どこでも「ホラー」カテゴリは存在するため、そこから見たい作品を探すことになります。このときに「ゾンビ」や「心霊」などの登場キャラクター、またパニックやスリラーなどのジャンルが好みであれば、検索の際に入力すると引っかかる作品もあるでしょう。
また、映画情報をまとめたデータベースサイトなどで、他の人の感想や評価を参考に作品を探すこともあるかと思います。
ただ当たり前といえば当たり前なのですが、作品を鑑賞する前に分かるのは、このあたりのざっくりした概要まで。
私は、土地に伝わる怪異などを紐解いていくようなルポルタージュ要素強めの作品が好きで、お化け屋敷のようなおどかし要素多めの作品はあまり好みじゃありません。でもこのあたりのディテールは、実際に映画を見てみないとほぼ分かりませんよね。
キャッチコピーやあらすじに惹かれてワクワクしつつ映画を観てみたら、期待していたものとは違ってがっかり……なんてことも珍しくなく。
とは言うものの、作品の感想やネタバレサイトを事前に読んでしまうのもつまらない。そこではたと思いました。好みのホラー映画を見つけるための手がかりがあればいいなと。
コーヒーやチョコレートだと、例えばこんなグラフをよく目にしますよね。
参照:
https://www.ejcra.org/coffeesummit-online/detail/index.html#00
※自分好みのコーヒーと出会うイベント、『コーヒーサミット』で使われている「味覚レーダーチャート」。酸味や苦味、コクといった味わいをチャートで示すことで、傾向を把握することができるようになっています。
あれと同じように、ホラーコンテンツについても、好みに合う・合わないを判断する目安があるといいんじゃないかなと。
ということで、作ってみたのがこちら。
作品キーワード
クリーチャー
民俗・伝承
耽美・退廃
ホラー映画によく見られる5つの要素を取り上げ、作品の傾向が分かりやすくなるよう示したチャート。名付けてホラーテイスティングチャートです。
キャラクター | ゾンビや吸血鬼などの怪物・幽霊の登場や、主人公側のキャラクター性の強さなど |
グロ・スプラッター | 生々しい流血シーンなどのグロテスク要素 |
ジャンプスケア | 効果音や映像による、急なビックリ演出の強さや頻度 |
サイコ・サスペンス | 怪奇現象以外の、精神的な恐怖によるアプローチ |
推理・謎解き | 怪奇現象や呪いの掘り下げのような、謎解き要素は絡んでくるか |
それぞれの要素についての説明は、ざっと上の表通り。
チャートだけでなく、作品にまつわる特徴的なキーワードを加えることで、傾向を少しでもつかみやすくしようという試みです。
上の例はあくまでテスト用に作ったものですが、この例であれば、「おどかし要素満載だけれどそれほどグロくなく、キャラの立ったクリーチャーが登場し、民間伝承などを題材にした耽美な雰囲気も楽しめる作品」といったところでしょうか。
映画に限らず、今後ご紹介するホラー作品については、その傾向をできるかぎり上記のようなレーダーチャート付きでご紹介したいと思っています。また、作品ごとのデータベースも作成していく予定です。個人で運営しているメディアですので少しずつの更新にはなりますが、たまにのぞいてみてくださいね。
なお、相対的な点数をつけることについては考えていません。上のチャートについても結局のところ主観によるものですし、怖い・面白いと感じるポイントも人それぞれなので、点数で評価するのも少なくともここではあまり意味はないかなあと。
それに、どんなホラー作品も製作者の思いが詰まったものであることに変わり無いので、点数で評価するのは忍びないというのも正直なところ。
ホラーを愛する全ての人が、より好みに合うホラー作品に出会えるようお手伝いができたらいいな……そんな気持ちです。